金:バブルのエピソード

(2005/12/16)

エクイティファイナンス…その2

エクイティファイナンス(公募増資)についてのエピソードの続きです。

ホワイトボードに書かれた『20万株』ですが、ココで重要な問題があります。

公募増資は、前回の支店長のコメントにもあるように、

『手数料なし』

『2%のディスカウント』

といった好条件なのですが、これには落とし穴があります。それは、

『株券が手に入る日が2週間ほど後』

だということ。

買って明日売れるわけではありません。手数料がないのは嬉しいことですし、ディスカウントは魅力です。しかしその分値段と受渡し日が決まっているので、受渡し日までに株価が下がってしまうリスクがあります。

今日の引けに比べたら、たしかに2%安いのですが、明日それ以上に下がってしまうかもしれないのです。

当時は、すでにバブルのピークからの相場の下降が始まっており、とりわけ、公募増資など実施された銘柄は、市場に出回る株が増えることで、需給関係が悪化し値崩れするケースがほとんどでした。

ようするに、

『儲からない株』

なのです。

明日になってしまうと、2%のディスカウントのはずが、値下がりして、市場より高い株を売らなければならないようになってしまう恐れがあるため、今日の引け後にお勧めするしかないのです。

『タイムサービス』…明日の寄付きまでの。

そんなことはおかまいなく、まずお決まりのように支店長が、

『さー早い者勝ちだぞ!営業1課はどうする?』

と、いつものように割り当てが決まります。

『そーだなー、営業1課、2課、3課はそれぞれ5万づつ…残りは投資相談課(窓口女性)で』

これを各課で、各営業マンに割り振ります。先輩の筆頭セールスになると一人で1万株、3,000万円くらいの株を買うお客さまを見つけることになりますー

新人セールスの私などには、それでも最低1,000株の割り当てがやってきます。

いわゆるこれが、『ノルマ』です。

計ったようにノルマが決まると、みなで一斉に電話営業が始まります。

まずは景気付けに、そのときとばかりに営業課長がお得意先に電話を掛け、1,000株、2,000株の注文をとっていきます。

すると、

『営業1課○○君、2,000株!あと19万8千株しかないぞー』

とか支店長が叫んで、ホワイトボードに名前と株数を書いて、数字を消しこんでいくのです。

しかし、新人セールスには、電話をかけるところがない。

はじめのうちはよいのですが、10分、20分と時間がたってくると、課長や先輩の電話がとまってくる。

『残り16万株だぞー!どうしたー』

だんだんトーンが変わってきます。

そして、お決まりの儀式です。

『みんなちょっと集まれー』

全員が集められ、数字の報告をするのです。

『○○お前なんぼだー?』

といった感じ。数字の報告については別の機会のお楽しみ…

そうこうしてるうちに、夜10時頃になると、たのもしーい先輩や課長が残りを全部さらってくれて、その日は開放されるのです。

あとは公募株の受渡し日まで、株価が下がらないのを祈るのみです。

現在のマーケットでは、需給関係を悪化させるような公募増資はまずありませんから、ご安心下さい。

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