華僑・中国人の投資ノウハウ「チャイナマネーを追え!」:第7回

第1章:今、円は高リスク。資産運用を「開国」せよ

第7回

■投資音痴の日本政府

今まで述べてきたようなことが起こった理由は、日本政府がきちんとしたビジョンや戦略を持っていなかったことに帰結します。

日本の場合、個人だけでなく、政府のお金の使い方や投資能力の低さも目立ちます。過去のハコモノ行政や昨今のバラマキ予算に限らず、国富を増やす方向に国民の税金が使われているとは思えません。

日本政府の投資能力の欠如の顕著な例としては、米ドル資産に偏った外貨準備運用が挙げられます。

変動為替相場制のもとでは、為替の調整メカニズムが存在するので、本来為替介入は不要です。他の先進国では外貨準備は数百億米ドル規模と最低限のことが多いことを考えると、現在の1兆1000億米ドルを超える日本の外貨準備は過大と言えます。

背景には、日本経済が、輸出産業の競争力を維持するために、円安方向に為替を調整し続けなければならない体質となってしまっていることが挙げられます。過去、円高を政策的に抑止するために、政府が円売り米ドル買い介入を続けた結果、膨大な外貨準備が積み上がりました。その外貨準備のほとんどを米国債の形で保有・運用しています。

大規模介入が行なわれて外貨準備が積み上がったのは、主に2003年から2004年の春にかけてです。当時の為替レートは1米ドルが120円程度であったので、現在の80円台前半のレートでは、総額の30%以上の含み損が生じているはずです。

すなわち、日本の外貨準備はおよそ30兆円の含み損を現在抱えているのです。これは、1年間の日本の国家歳入額に匹敵する巨額の損失です。

日本政府は「外貨準備は収益を目的とするものではないから、安全に運用することが重要」と説明してきました。しかし、実際は、米ドル建て資産に著しく偏る運用をしてきたという意味で、安全とはほど遠いものだったと言えます。株式ではなく米国債で運用してきたことを「安全」とするのであれば、そのリスク管理能力は低レベルのものとしか言いようがありません。

為替レートの将来を正確に予測することはできないので、本来は分散投資するしかリスクヘッジの方法はないのです。日本政府の米ドル資産(米国債)に大きく偏った運用は、当たり前の投資の基本原則さえ守っていないものです。

また、「日米の関係を考えると、政治的な観点から米ドルを支える必要があり、そのために米ドル資産で運用せざるを得ない」という主張もありますが、これは政治と経済を混同した考えです。政治的にアメリカとの関係を良好に保つ必要はあるかもしれませんが、投資の基本原則を曲げてまで米ドル資産を購入する必要は、まったくありません。

外貨準備は本来国民の財産であり、間接的な形ではありますが、国民一人ひとりが保有しているものです。にもかかわらず、マスコミや国民の無知に付け込んで、その積み上げや通貨の選定も、国民にはなんの相談もされずに決定されています。

つまり、すべての日本人が、良識と合理性を欠く政府の資産運用のおかげで、膨大な損失を抱えることになったと言えます。

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