華僑・中国人投資ノウハウ「チャイナマネーを追え!」【第5章】:第1回

第5章:海外不動産入門☆その他の国・地域編

今後、チャイナマネーを追いかけて投資すべき先はどこなのか?その投資先の状況はどうなっているのか?

本章では、マレーシア不動産以外の海外不動産市場について、チャイナマネーの動向を踏まえながら解説したいと思います。

第1回

■香港特別行政区

天安門事件が発生した1989年以降、市場は1997年の中国返還を意識して一時暴落しました。しかし、その後は落ち着きを取り戻し、再び上昇に転じました。1997年の返還も無事乗り切ったかに見えましたが、同年末から広がったアジア通貨危機を契機に、再び調整がはじまりました。

香港では、SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生して、経済が低迷した2003年から投資移民ビザ(Capital Investment Entrant Scheme)制度を開始します。650万香港ドル以上の投資基金や不動産などに投資することで、居住権を取得することができる制度です。そして、この投資を7年間維持すると、永住権を申請することができます。

近年、この制度を利用して居住権や永住権を獲得することを狙った大陸の中国人が、多数、香港不動産へ投資しています。2009年には、中国国内の不動産が高騰する中、中国人の香港買いが進みました。大陸の投資家を狙ったプロモーションを香港地場デベロッパーが展開する一方、地元香港人が、香港で不動産が買えなくなり、深センや上海に買いに来るなど、資金が還流する現象も起きました。

2010年に入っても、中国大陸の投資家による香港買いは継続しており、高級住宅の価格は底堅く推移しています。最近、投資移民ビザの条件にある650万香港ドルの基準を、近々1000万香港ドルに引き上げる方向で政府が検討に入ったという噂が流れました。これを受けて、中国人による駆け込み購入が相次いでおり、物件を見てその場で契約していく中国人がいるようです。

香港ドルは、米ドルにペッグしています。昨今、アメリカでは、景気低迷により、低金利政策が続いていることから、香港ドルも米ドルにあわせて超低金利となっています。関係が深い中国経済の回復の恩恵を受けつつも、低金利が続いているため、不動産バブルが生じやすい状態にあります。ここに、大陸からのチャイナマネーが流れこみ、2009年は平均で30%近くの上昇となりました。高級マンションの上昇率は40%とも言われ、高級マンション購入者の5分の1は大陸からの中国人で占められていたそうです。

ヘンダーソンランドが開発した香港島のマンションで、中国人が購入した物件が最高単価8万8,000香港ドル/平方フィート(坪単価で約3,500万円)だったことは、大きな話題になりました。

香港特別行政区の面積は、1,104平方キロメートル、人口は705万人、1人あたりGDPは4万3810米ドルです。人口が毎年1%程度で増加し、平地での人口密度は20万人/平方キロメートルで、世界でも有数の高密度都市です。開発余地が限られていることから、不動産に投機資金が入りやすいと言われています。

過去の推移を見ても、不動産市場は周期的に変動を繰り返す、サイクル型の市場であり、安く買って高く売るという、華僑や華人が得意とする市場となっています。HSBCの本社機能がロンドンから香港に移転するなど、欧米の金融危機により、アジアのステイタスが上がっています。世界の金融システムが落ち着けば、アジアの金融センターである香港に資金が入り、さらに活況になるという強気な見方がある一方で、2009年の高騰により、世界でも最も不動産が高い都市となった今、そろそろ調整が入るという見方もあります。

日本人にとっては、香港は東京から4時間半のフライトで行くことができる、英語が通じる国際金融都市であり、常に注目すべき市場です。ファイナンスが使える利点はありますが、すでに東京を超える価格水準(ごく普通の中古マンションが億ション)であり、かつグロス賃貸利回りも3%から4%と低水準です。香港の不動産に投資するにあたっては、数千万円の自己資金が必要になるので、投資のタイミングには十分な検討が必要です。

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