資産運用のテクニック(第4限)

講座C:グローバルマネー2


(2008/05/16)

講座C〜資産運用のテクニック第4限です。

今回は、グローバルマネーの性質を具体的な例で見てみます。

1997年5月にタイで始まったアジア危機をきっかけに、アジアに流入していたグローバルマネーは、欧米へと流れ込み欧米株及び米ドルは上昇を続けました。

その余勢をかったマネーはブラジルやアルゼンチン、そしてロシアといったエマージング地域へと投資されました。

しかし、98年8月にロシア危機が起きるとグローバルマネーの逆流が始まったのです。

そう、フライトゥクオリティ(質への逃避)が起きたのです。

つまり、リスクの高いエマージング地域から資金は引き上げられ、リスク資産である米国株や社債市場から米国債へと資金が流れました。

また、米国に投資されていた欧州資金も本国へと還流し(リパトリエーションといい、リスクマネーが回帰する現象を指す言葉としてその後流行する)、米ドルも売られました。

対円でも140円台後半から一気に120円を切る急激な円高となりました。これは、円キャリートレードという、低金利の円を大量に借りたヘッジファンドなどが、ロシアのデフォルトで円返済を迫られたということで、欧州マネーのリパトリエーションとは若干事情は異なりますが、グローバルマネーが逆流したという意味では同様でした。

このようにひとたび信用不安が生じると、臆病な資金であるグローバルマネーは安全資産に逃げ込むという性質を持っているのです。

こうした状況は99年初めのブラジル危機まで続きましたが、FRBの迅速な利下げ対応で、こうした信用不安は解消されました。

そうすると、再びリスクマネーであるグローバルマネーはリスク資産を志向していったのです。回帰していた欧州資金は再び米国へ向かい、米国債に逃げ込んでいた資金は株式や社債への投資に向かったのです。そして、ITバブルが弾けるまで、米国及び米国株式への資金流入が続いたのです。

こうしたグローバルマネーの動きをうまく掴めば、投資比重を増やす投資対象の選定に役立つのです。

では、こうしたグローバルマネーの動きをどう知るかですが、最近では新聞、雑誌などに時折解説されることがありますので、まずはそうした記事を読んで理解を深めることです。

ここ1、2年で「円キャリートレード」という言葉が一般的になりましたが、こうしたトレードは30年も前から行われているのです。

それは人為的に円金利を低めに誘導することで、行われます。円安に誘導したい日本と、経常赤字を埋めるために資本流入を必要とするアメリカの利害が一致しているのです。

グローバルマネーを数値でつかむためには、各国の国際収支を調べるしかありませんが、プロでない人がそこまでするには骨が折れます。

統計が発表されるまでには1〜3ヶ月かかり、しかもそれは既に過去のことなのです。従いまして、過去を詳細に調べるよりも、それを基に自分で未来を判断するということが大事になるのです。

投資判断の材料に、グローバルマネーの動きを加えることで、予測精度の向上が図れるのです。

では。

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